最高裁判所第二小法廷 昭和49(オ)1202 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人富森啓児の上告理由第一について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することがで
きない。
同第二について
原審が適法に確定した事実関係によれば、上告人Aは、酒造工場を経営する意図
のもとに、いずれも被上告人から、昭和三六年三月二一日第一審判決別紙第一目録
記載の土地を賃借し、ついで同年四月八日同第二目録記載の土地を買い受けたとこ
ろ、右第二目録記載の土地の売買を原因とする所有権移転登記は、申請手続の過誤
により右第一目録記載の土地についてされたが、同上告人は、右両土地とも引渡を
うけ、地上に酒造工場用建物を建築所有し、その敷地として右両土地の使用をつづ
けてきたにもかかわらず、右第一目録記載の土地についての約定の権利金、賃料及
び右第二目録記載土地についての売買代金二五二万九〇〇〇円のうち一四七万九〇
〇〇円を支払わなかつたため、被上告人から、昭和四〇年一〇月二五日ごろ各その
履行の催告を受け、昭和四二年一月六日到達の書面で右各金員支払債務不履行を理
由に右賃貸借契約及び売買契約を解除されたというのであり、右事実関係のもとに
おいては、同上告人は、信義則上、売買残代金の支払について右第二目録記載の土
地に関する被上告人の所有権移転登記手続義務との同時履行の抗弁を主張しえなか
つたものと解するのが相当であり、したがつて、被上告人が右所有権移転登記手続
義務の履行の提供をしないでした前記催告及び解除の意思表示は有効にされたもの
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というべきであつて、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ
る。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 吉 田 豊
裁判官 岡 原 昌 男
裁判官 大 塚 喜 一 郎
裁判官 本 林 讓
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